生活していく以上は何かしらかかってくる税金ですが、最近はクレジットカードで支払える種類も増えてきました。
いちいち現金を持ち歩かずに手軽に決済できますし、クレジットカードのポイントも貯めることができるので、カードの還元率分だけ節約することができます。
一方で、決済手数料や手続きの面で若干面倒などの問題もあります。
今回は、そんなクレジットカードで税金を支払う際の6つの注意点についてご紹介しましょう。
納税確認まで時間がかかる
クレジットカードで税金を支払う場合、納税確認ができるまでに1~2週間ほどかかる場合があります。
法定納期限内に支払っていれば延滞金はかかりませんが、納期限ギリギリで支払い手続きをした際に万が一決済に失敗していたら、延滞金がかかる可能性があります。
例えば、市税の延滞金の計算式は次のとおりです。
「滞納税額×延滞金の割合×納期限の翌日から納付日までの日数÷365」
延滞金の割合は、次のように年によって変わってきます。
期間 | 納期限の翌日から1ヶ月を経過する日までの期間 | 納期限の翌日から1ヶ月を経過する日以降の期間 |
---|---|---|
平成12年1月1日~平成13年12月31日 | 4.5% | 14.6% |
平成14年1月1日~平成18年12月31日 | 4.1% | |
平成19年1月1日~平成19年12月31日 | 4.4% | |
平成20年1月1日~平成20年12月31日 | 4.7% | |
平成21年1月1日~平成21年12月31日 | 4.5% | |
平成22年1月1日~平成25年12月31日 | 4.3% | |
平成26年1月1日~平成26年12月31日 | 2.9% | 9.2% |
平成27年1月1日~平成28年12月31日 | 2.8% | 9.1% |
平成29年1月1日~平成29年12月31日 | 2.7% | 9.0% |
平成30年1月1日~ | 2.6% | 8.9% |
例えば次の条件だとして、延滞金を計算してみましょう。
税額:715,000円
納期限:平成30年1月31日
納付日:平成30年2月28日(納期限の翌日から計算して28日が経過)
715,000円×28日×2.6%÷365=1,426
100円未満は切り捨てなので、この場合は1,400円の延滞金がかかることになります。
このように、現金ならばその場で支払い完了が確実に分かりますが、クレジットカードの決済エラーを見逃していた場合は税額によって延滞金がかかってきてしまうので注意が必要です。
手数料がかかる
クレジットカードで税金を支払う場合、次のように納付税額に応じた決済手数料がかかります。
税金の種類 | 納付税額 | 決済手数料(税込) |
---|---|---|
国税 | 1円~10,000円 | 82円 |
10,001円~20,000円 | 164円 | |
20,001円~30,000円 | 246円 | |
30,001円~40,000円 | 328円 | |
40,001円~50,000円 | 410円 | |
50,001円~60,000円 | 492円 | |
60,001円~70,000円 | 574円 | |
70,001円~80,000円 | 656円 | |
80,001円~90,000円 | 738円 | |
90,001円~100,000円 | 820円 | |
都税 | 1円~10,000円 | 78円 |
10,001円~20,000円 | 157円 | |
20,001円~30,000円 | 236円 | |
30,001円~40,000円 | 315円 | |
40,001円~50,000円 | 394円 | |
50,001円~60,000円 | 472円 | |
60,001円~70,000円 | 550円 | |
70,001円~80,000円 | 628円 | |
80,001円~90,000円 | 706円 | |
90,001円~100,000円 | 784円 | |
自動車税 | 北海道や埼玉県など | 324円 |
佐賀県 | 300円 | |
沖縄県 | 308円 |
上記以降は、国税では10,000円を超えるごとに決済手数料82円(税込)が、都税では78円(税込)が加算されていく計算です。
税金を分割払いやリボ払いにすることもできますが、この場合も別途カード会社が定める手数料を支払わなくてはなりません。
これらの手数料に関しては、誤って納付手続きをしてしまった場合でも国や自治体の収入にはならないので、還付(返金)の対象にはならないので注意が必要です。
なぜ利用者が決済手数料を支払わなければならないのかというと、納付受託者側のリスクや利用者自身が受ける利益に対して納付受託者が決定していることから、と国税庁では説明されています。
つまり、クレジットカード納付は、指定された民間納付受託者が利用者から納付の委託を受けて立て替え払いで自治体や国に納付する仕組みになっています。
そのため、納付受託者は先に自治体や国に立て替えをして納付をするため、住民から納付がされるまでの間は貸倒リスクを追うことになり、利用者は納付繰り延べなどの利益を受けることになります。
こうしたリスクや利用者自身の利益を考えて、決済手数料が設定されているということですね。
スポンサーリンク領収書の発行が面倒
クレジットカード払いの場合は、領収書が発行されません。
そのため、すぐに支払った証明をしなくてはならない場合に備えて、カード会社が発行する利用明細や支払手続き画面を印刷して記録としてとっておきましょう。
領収書が必要な場合または各種手続きですぐに納税証明書が必要な場合は、金融機関や税務署、県税事務所、役所、コンビニエンスストアなどの窓口で納付する必要があります。
通常、納税証明書の発行や運輸支局や自動車検査登録事務所での納付確認は、支払いが完了してから2週間程度かかります。
したがって、車検が近い場合など至急で納税証明書が必要な場合は面倒でも窓口納付をする必要があります。
平成27年4月以降、車検(継続検査・構造等変更検査)時に運輸支局や自動車検査登録事務所で行う自動車税の納付確認は、電子的に確認することができるようになりました。
これまでは自動車税納税証明書を継続検査窓口に提示しなくてはなりませんでしたが、省略できるようになったというわけですね。
スポンサーリンククレジット対応していないこともある
クレジットカードのブランドや税金の種類によっては、クレジットカード支払いをすることができません。
国税と地方税でも対応しているクレジットカードブランドは違い、自治体によっても、税金の種類によってもクレジットカード対応をしているものとしていないものがあります。
例えば、国税であれば次の6つのブランドで使用可能です。
- VISA
- Master Card
- JCB
- アメックス
- ダイナース・クラブ
- TS CUBIC
TS CUBICだけ聞き慣れないかもしれませんが、これはトヨタファイナンス株式会社が発行するカードで、国が指定する委託業者なので決済が可能になっています。
そして、国税でクレジットカード払いができるのは今のところ次の税金です。
- 申告所得税及び復興特別所得税
- 消費税及び地方消費税
- 法人税(連結納税を含む)
- 相続税
- 贈与税
- 源泉所得税及び復興所得税
- 申告所得税
- 復興特別法人税(連結納税を含む)
- 消費税
- 酒税
- たばこ税
- たばこ特別税
- 石油税
- 石油石炭税
- 電源開発促進税
- 揮発油税及び地方道路税
- 揮発油税及び地方揮発油税
- 石油ガス税
- 航空機燃料税
- 登録免許税(告知分のみ)
- 自動車受領税(告知分のみ)
- 印紙税
一方で地方税は、例えば東京都税でクレジットカード払いができるのは今のところ次の税金です。
- 自動車税
- 固定資産税・都市計画税(23区内のみ)
- 固定資産税(償却資産)(23区内のみ)
- 個人事業税
- 不動産取得税
- その他(法人都民税・法人事業税等)
このように、同じ東京でも「23区内のみ」のように限定があったりするので、お住まいの自治体のホームページで対応しているものを確認しましょう。
クレジットカードで支払える税金もありますが、これらはクレジット対応していない役所や金融機関、コンビニなどでは支払えないのでその点も注意しておきましょう。
ただし、電子マネーのnanacoはセブンイレブンで税金を支払うことができます。
nanacoで支払ってもポイントはつきませんが、クレジットカードによってはクレジットカードからチャージをすればチャージをした分のポイントがもらえるのでお得ですね。
毎回自動引落ではない
クレジットカード払いの場合は、銀行口座引き落としと違って一度手続きをしてもそれ以降自動的にクレジットカード決済になるわけではありません。
払ったのか払っていないのかを忘れてしまう可能性があるので、クレジットカード払いの場合はその都度対応することを念頭に置きましょう。
クレジットカードで納税する場合は、各種支払いサイトで手続きをすることができます。
- 国税クレジットカード支払いサイト
- Yahoo!公金支払いサイト
- その他都道府県別支払いサイト
例えば、Yahoo!公金支払いサイトの場合は、次のような手順で手続きをしていきます。
- Yahoo!公金支払いサイトにアクセス
- 納付通知書の納付番号と確認番号を入力
- 決済手数料の確認
- 必要事項の入力
- 内容確認
説明に沿って手続きを進めるだけなので簡単ですが、支払完了後の変更やキャンセルはできないので注意しましょう。
利用限度額に注意
これは忘れがちな点ですが、クレジットカードによって設定が異なる利用限度額を超えた支払いはできません。
「現金は給料日まで用意できないけど、クレジットカードで払うから大丈夫・・・」と思っていたら、利用限度額を超えていて決済できない場合もあります。
あらかじめ利用限度額を確認しておき、計画的に納税をしましょう。
また、高額納税の場合も注意が必要で、1,000万円以上の納税はクレジットカードでできないという点も注意事項としてあります。
クレジットカードでの支払いは非常に楽でポイントも貯まる、良いことづくめのように見えますが、ご紹介したような注意点もあります。
クレジットカードで支払いができる税金も増えているため、今後は電子マネーや仮想通貨払いができるようになるかもしれません。
その際も、必ず使える条件や注意点を確認して、計画的に納税していきましょうね。